地域芸能を知るための
10冊

呉屋 淳子

選定書籍一覧
(呉屋 淳子・選)

沖縄県立芸術大学では、2019年度より文化庁の「大学における文化芸術推進事業」の採択を得て、「今を生きる人々と育む地域芸能の未来」というプロジェクトを実施している。「民俗芸能」や「伝統芸能」といった既存の枠組みから離れ、「地域」という視点から、芸能の持続可能な継承を考えるプロジェクトだ。
伝統とは、そもそも変化しながら受け継がれるものである。芸能の継承に困難が生じているのであれば、歴史や伝承を踏まえながらも、従来の考えやイメージとは違うやり方や異なる関係性の結び方を、地域の中でそれぞれに試行錯誤することが必要ではないか。
「地域芸能」は、こうした柔軟で自立した芸能のあり方を可視化し、それを人々と共有するために考え出された概念である。ここでは、「地域芸能」という視点に立って、沖縄の豊かな芸能を支える文化を育んできた地域とそこで生活する人々の営みを捉え直すための10冊を紹介したい。

呉屋 淳子 (ごや・じゅんこ)

沖縄県立芸術大学音楽学部准教授。
専門は文化人類学。地域のなかで育まれてきた芸能の持続可能な継承のあり方を地域の人びとや行政、学校の関係者と共に考えるプロジェクト「地域芸能と歩む」の企画・運営を行う。著書に『「学校芸能」の民族誌―創造される八重山芸能』。

道じゅねーで勇壮な演舞を披露する沖縄市久保田青年会。2019 年8 月、沖縄市・胡屋十字路にて。(資料提供:沖縄タイムス社)