沖縄の俳句を知るための
10冊
選定書籍一覧
(おおしろ 建・選)
沖縄の近・現代の100年間で俳句がどう評価されているのだろうか。仲程昌徳著『沖縄文学の100年』を紐解いてみた。100年間の歴史に刻まれた俳句本は3冊。子熊一人著『沖縄俳句歳時記』と野ざらし延男句集『地球の自転』『沖縄俳句総集』である。

おおしろ 建 (おおしろ・けん)
1954年宮古島市伊良部島生まれ。俳人。本名は大城健(おおしろ・たけし)。「タイムス俳壇」選者。元高校教員、現在大学非常勤講師。句集に『地球の耳』。詩集に『卵舟』。「天荒俳句会」事務局。誌と批評「KANA」同人。「現代俳句協会」会員。俳句を中心とした文芸指導を各赴任校で行っていた。1997年より「沖縄県高等学校文芸誌コンクール」の審査員を務めている。


1960年代、沖縄文学の胎動期ともいえるこの時期に発行された野ざらし延男の処女句集。312句が収録されている。金子兜太による「序に代えて」のほか、「跋文」を新屋敷幸繁、「解題」を益田清が執筆。〈コロコロと腹虫の哭く地球の自転〉

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小熊一人は1975年から3年間、沖縄気象台に勤務。「琉球俳壇」(琉球新報紙)の元選者である。沖縄の季節、自然、行事に即した歳時記として「うりずん」「清明祭」などの季語が並ぶ。

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カラー写真を織り込んだ豪華な大型本。全国の都道府県を7つの地域に分けた全七巻と別巻一のシリーズ。季語のほかに、沖縄の地名を織り込んだ編集がユニーク。「沖縄の自然と風土」の解説と句。「沖縄ふるさと名句選」が収載されている。

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戦前から現代まで、有名・無名を問わず、海外を含む全国規模の沖縄作品を収録。収録者数は308人、一万句を越える沖縄俳句の万葉集である。「大きな金字塔を打ち立てた」と仲程昌徳に絶賛され、「空前にして絶後の労作」と岡本恵徳に激賞された一冊。

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数田雨條は戦後初期の沖縄俳句界の勃興に貢献した。1946年に復員した後、1950年に戦後初めての俳句グループ「みなみ吟社」を創設し、月刊句誌「みなみ」を発行。同句集は総勢56人の5年分の合同句集。

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久高日車は1901(明治34)年、那覇に生まれる。沖縄の戦後史が活写された句集。矢野野暮が跋文「“甘藷を負ひて” を追ふて」を執筆。〈弾拾いがんじがらめに子を背負う〉〈甘藷負ひて腰入れ直す緑陰に〉〈わが墓地は軍用地なりつわの花〉

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糸満に生まれる。1956年より1977年まで琉球新報紙の「琉球俳壇」の選者。写実的ロマンチシズムを提唱し、有季定型の立場から後進の育成と沖縄俳句界発展に尽力した。糸満市真壁城址に〈製糖期の日がどつしりと村つつむ〉の句碑が建つ。

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1941年、那覇に生まれる。1983年から1997年まで沖縄タイムスの「タイムス俳壇」の選者。俳句は有季定型の立場から作句し、「認識の文学」であると説く。同句集は『地蟲』『地の力』『梅雨の島』『熱帯夜』『遠夏野』をまとめた全句集。

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1956年から12年間の「タイムス俳壇」に投稿された上位秀作の矢野野暮による選をまとめたもの。伝統俳句の立場から、風土性を掘り下げることを提唱した。選評を通して俳句とはどうあるべきかなどが丁寧に書かれている。

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1922年、那覇に生まれる。野ざらし延男が「解説」を執筆。沖縄の口語俳句の旗手として評価している。〈へその城もぬくみ記憶の母がわらっている〉〈ファミリイ人形が歩く 絶望ってすごいね〉〈メスの魔術なめらかに妻の舞台ごらんよ〉

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